三太くんは1日サンタ
三太くんは急いで駆け寄り、カーテンを開きました。


「うわ、ほんとに子どもじゃねーか」


お迎えに来たトナカイさんは、三太くんの姿を見るなり窓越しにそう言いました。


「何だよたよりねーなー。お前にちゃんとプレゼントが配れるのか~?」


頭の先から足のつま先までジロジロと眺めながら、トナカイさんはとても意地悪な声でおしゃべりを続けています。


でも、三太くんは気にせずに窓を開けて外に出ると、ベランダの向こう側に浮かんでいたソリに「よいしょ」と乗り込みました。


いつもだったらもうとっくに夢の世界に旅立っている時間なのに、今夜は不思議と眠くなりません。


「じゃ、トナカイさんよろしくね?しゅっぱつしんこーう!」


手綱を引っ張りながら、元気いっぱいにかけ声をかける三太くん。


それを聞いたトナカイさんはしぶしぶながら、上空に向かって駆け上がって行きました。
< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop