三太くんは1日サンタ
この家の子が一年間、良い子にして、心待ちにしていたプレゼント。


開けた瞬間それが無惨にバラバラになっていたりしたら、悲しくて悔しくて泣いてしまうかもしれません。


いえ、三太くんこそが、今にも泣き出してしまいそうでした。


「ちょっと見せてみろ」

言いながら、トナカイさんは三太くんが抱えている箱に鼻先をくっつけました。


「ん。大丈夫だ」


「えっ。本当?」


「ああ。包みを解かなくても、オレは鼻で触れれば中身が見えるんだ」


トナカイさんは得意そうに言いました。


「中に入っているロボットは無事だ。どこもこわれてない」


「よかったー!」


「そういうお前は大丈夫なのか?」


「え?うん、ぜんぜんへっちゃらだよー!」


本当は、倒れた時にぶつけたヒジとヒザがちょっとだけジンジンしていたのですが、でも、ガマンできる痛さです。


モコモコのコートを着て、長いズボンをはいているので擦り傷なんかもできていません。
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