嘘つきなあなたからの恋文。
コタくんのご両親に連絡をすると、電話に出たのはコタくんのお父さんだった。
『はい、小田です』
そう発したコタくんのお父さんの声は2年前当たり前の様に隣で聞いていたコタくんの声に似た声でつい何も応えられず声を出して泣いてしまった。
そんな私にコタくんのご両親は不審がることも無く、無言で私の泣き声を聞いて下さり、落ち着いた所で『あなたが小池さん?』とまたコタくんと似た声を発した。
「はい…先ほどはいきなり大声で泣いて大変失礼しました。
私…健二くんの中学の同級生の小池と申します」
『そう、あなたが…綾部くんから聞いて貴方からの連絡をずっと待っていたんだよ』
「綾部くんが…?」
『『きっといつか小池という女の子から連絡が来ると思うから、その時は何も聞かず健二の墓の場所を教えてあげて下さい』と。
『絶対あいつは健二に会いに行くから』って言ってね…』
綾部くん…。
2年前のあの夏に連絡してから綾部くんとは会ってもないし、一切連絡すら取っていない。
況してや綾部くんが行った高校は地元から離れていて最近の綾部くんのことは私の周りにも知っている人はいなかった。
「綾部くんには……失礼なことをしました」
あれから謝りの連絡すら取ってないのに…なのにそんな失礼な私をそんな風に言っててくれていたなんて思いもしなかった。
『綾部くんが君の事を話す態度は嫌っている様には見えなかった、だから大丈夫だよ』
「……」
“大丈夫”その言葉は以前コタくんから励まされた言葉。
コタくんに似た声で言われた【大丈夫】は涙を誘う。
「コタくんに…会わせてください」
震える声で頼んだ返事は
「…もちろんだよ」
震えた声で返って来た。