嘘つきなあなたからの恋文。
「夕日…落ちちゃった」
夜空は真っ暗になり、夜の始まりを示す1番星がキラリと輝いた。
「コタくん、1番星だよ」
立ち上がって夜空に指を指しながら後ろを振り向くけど彼の姿はない。
目の前には冷たい石のお墓だけ。
「コタくん…」
確かに彼はそこにいる。
もう体は存在しないが確かに彼は眠っている。
でもそれだけじゃあ物足りない。
あの笑顔を、声を、身体を、
生きていたコタくん全てを欲してしまう。
「会いたいよ……」
眠っている貴方ではない生身な貴方にまた会いたい。
そして気持ちを伝えたい。
伝えたかった。
あの時拒絶を恐れ、思ってない反応に恥ずかしくて訂正してしまった私の気持ちを。
「大好きって伝えたかったな……」
今伝えることができたら貴方はどんな反応を示してくれたかな…?
またあの日の様に悲しい顔をするのかな?
『ごめん』って言われちゃうかな?
それでも私はきっと伝えるよ。
だって、今では悲しい顔も謝罪する声も見ることも、聞くこともできないのだから。