嘘つきなあなたからの恋文。


「あ、隣小池かよー!」


「….そこは喜ぶとこだからね」


「前を向いたら先生、横を向いたら小池。

先生、席替えを希望します」


「却下だ。みんなもちゃんと移動したか?
授業始めるぞー」


「あー!前嫌だー!」


隣が田辺とかうるさすぎる…。

それも1番前って…運なさすぎる。


自分の運を呪いながら後ろを振り返って1人の人を探す。


「あ…嘘」


彼は前回と同じ席に座っていた。


また同じ席を引くなんてさすがコタくんと言うべきか……羨ましい…。


私の視線に気付いたのか、コタくんと視線が重なる。

コタくんは微笑みながら手を振ってくる、いつもの余裕ある対応だ。


そんなコタくんに八つ当たりをしたくなる。


けれどそんなことより1番気になることがあった。

コタくんに視線を向けると隣の子と仲良く2人で話している。

名前は今も忘れない…今岡さんだ。


「なんで、私じゃないのよ…」


さっきまで私がいた場所。

コタくんの隣は私だったのに…。

授業中、一緒に笑い合っていたのは私だったのに…。



「悔しいな…」


「ん?なんか言ったか?」


「…田辺の隣最悪って言ったの」


「お前、俺のさっきの発言根に持ってるだろ」


なんで私の隣はコタくんじゃないの?


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