嘘つきなあなたからの恋文。
手紙、読んだよ。
何度も何度も読んだよ。
怒って読んだこともあったし、笑って読んだこともあった。
でも、どう読んだって最後には泣いてるの。
全米が泣いた映画を観たって泣かない私が毎回涙を流すんだよ?
コタくんがもし映画監督になってたら全米以上が泣ける映画を作ってただろうね。
……そう書きつつコタくんが私の大人の姿を想像できないというように私も貴方が歳をとって大人になった姿を想像できないな。
だって私の中の貴方は永遠に15歳の頃の貴方だから。
何度想像したって貴方は幼い学ラン姿で笑ってるの。
優しい笑顔で【小池さん】って呼ぶコタくんしか想像できないの。
まるでおばさんの妄想を話しているようね。
手紙を読むまで16年、私は貴方の好意も、それを隠すためについてきた嘘も気づくことができませんでした。
それは貴方が嘘を得意として気付くことができなかったのか、
はたまた他の人の意見を信じれる程私は私に自信が無かったのか、
…きっと答えは両方です。
コタくん、私は1年間貴方が貴方自身を守る為についた嘘を1つも気付くことができませんでした。
手紙を読んで貴方がついた嘘を初めて知り、そしてあの頃疑問に持っていたことも繋がりました。
例えば席替え。
こんな私だって何度もクジで同じ席が当たる、それも2人とも!…そんな奇跡ある訳がない、ちゃんと分かってたよ。
でもあの頃コタくんが好きで仕方なかった私はずっと貴方と隣同士になれて嬉しくてたまらなかった。
偽物の奇跡と運命すら信じていたかった。
貴方が裏で糸を引いていたなんて少し考えれば分かることなのに私は今の今まで気づきもしなかった。
まさかコタくんがそんなずる賢さを持っていたなんて思っても見なかったから。
私はあの頃良く貴方に言ってましたね、『大人だね』って。
自分より大人だと思っているコタくんにずる賢さなんて持ってないと思い過ぎてたんだと思う。
貴方も私たちと同じ15歳、ずる賢さを持ってるのは当たり前なのにね。