嘘つきなあなたからの恋文。
話し掛けられたのは朝のHRが始まる前だった。
「おはよう、小池さん」
「あ…おはよう」
この子は…コタくんの隣の席の今岡さんだ。
「いきなりで悪いんだけどね…席替わってもらえないかな?」
「え…?」
「あたし…えっと……目が悪くて黒板の字が見えないの。
だから、替わってもらいたくて」
明るく振る舞っているけどこの子…。
「…本当に?本当に替わりたいの?」
私がそう言うと目に戸惑いが見えた。
けど、それは一瞬のことですぐに笑みが向けられる。
「うん、本当よ。ダメ……かな?
……小池さんの前の席と同じ席なんだけど」
「うん…分かった。いいよ」
「本当?ありがとうっ」
笑顔も作り笑い、言葉に気持ちが入ってない。
すぐに替わりたいなんて嘘だって一目で分かった。
だってこの子はコタくんのことが好きだったから。