嘘つきなあなたからの恋文。
「なにそれ…」
首を傾げて聞いてくる蒼の前に取り出しのは可愛いらしい花柄模様の小さな封筒。
しかし、色褪せたり留められているセロハンテープが劣化したりと年期を感じる。
劣化したセロハンテープは少し触れるとすぐに剥がれた。
ゆっくり封筒を開き、ひっくり返す。
ひっくり返した封筒からは
「髪留め…?」
「可愛いでしょ…?」
封筒の中にはリボンの形で、チャームとしてパールがついているワインレッドの上品な色をした髪留めだった。
「これね…コタくんが私にプレゼントしてくれたの。
と言っても私の手元に届いたのは2日前なんだけどね」
25年振りに見た髪留めを優しく撫でる。
私が年を取ったようにあれから25年という月日が流れた。
しかし目の前にある髪留めは時が止まっていたかの様にあの頃と変わらず劣化することなく綺麗だった。
「実はこの髪留めでね、ケンカしちゃったの」
「は?」
髪留めから目の前に座る蒼に視線を変えると、蒼の気が抜けた顔を見てつい笑みが出る。
「ヤキモチ妬いちゃった…」
「おえっ……」