嘘つきなあなたからの恋文。
「じゃあ、行こうか」
「う、うん」
初めて好きな人と下校する。
何だか変な感じ…いつも席が隣でコタくんの隣に慣れているはずなのに、ドキドキが止まらない。
気づかれないようにコタくんの横顔を見る。
あ…そうか。
いつもより距離が近いからドキドキするんだ。
いつもは席が隣同士でも距離がある、けれど今コタくんとの距離は腕が当たる程。
緊張しない訳がない。
「小池さん」
「な、なに?」
見てたこと気づかれたかな?
さっきとは違ったドキドキを感じながらコタくんを見つめる。
「もしかして緊張してる?」
「はぁっ!?し、してないよっ」
あ、今の言い方冷たかったかも…。
口に出してすぐに後悔した。
「そっか…ごめん、僕の勘違いだったね」
コタくんは悲しそうな顔をして笑みを向けると、私の一歩前を歩く。
コタくんの背中は寂しそう。
絶対、傷つけた…。
「コタくん」
このままじゃ、気まずい状態で買い物しないといけない。
先に歩くコタくんの背中の学ランの端っこを握る。
「……嘘だよ。いつもより距離が近くて緊張してる」
素直に言うと、コタくんは歩くのを止め、振り返った。
「…なぁんだ、小池さんも僕と一緒か」
「え?」