嘘つきなあなたからの恋文。


「じゃあ、行こうか」


「う、うん」


初めて好きな人と下校する。


何だか変な感じ…いつも席が隣でコタくんの隣に慣れているはずなのに、ドキドキが止まらない。


気づかれないようにコタくんの横顔を見る。


あ…そうか。

いつもより距離が近いからドキドキするんだ。


いつもは席が隣同士でも距離がある、けれど今コタくんとの距離は腕が当たる程。

緊張しない訳がない。


「小池さん」


「な、なに?」

見てたこと気づかれたかな?

さっきとは違ったドキドキを感じながらコタくんを見つめる。


「もしかして緊張してる?」


「はぁっ!?し、してないよっ」


あ、今の言い方冷たかったかも…。

口に出してすぐに後悔した。


「そっか…ごめん、僕の勘違いだったね」


コタくんは悲しそうな顔をして笑みを向けると、私の一歩前を歩く。

コタくんの背中は寂しそう。


絶対、傷つけた…。


「コタくん」

このままじゃ、気まずい状態で買い物しないといけない。

先に歩くコタくんの背中の学ランの端っこを握る。


「……嘘だよ。いつもより距離が近くて緊張してる」


素直に言うと、コタくんは歩くのを止め、振り返った。


「…なぁんだ、小池さんも僕と一緒か」


「え?」


< 23 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop