嘘つきなあなたからの恋文。



「あっ、あのコタくん?」


「ん?何?」


コタくんは私の手首を握ったまま店内を歩く。



「て、手首」


「あ、あれ可愛いと思うんだけどどうかな?」


手首を連呼してもコタくんは私の言葉を無視して話を進める。


「ほら、小池さん見て。これ可愛いと思わない?」


そう言ってコタくんが見せてきたのはフレームに色んな色の花がついた木製の写真立て。


「可愛い…可愛いっ!」


「でしょ?」


「うん!これ良いと思う!私も欲しいもん!」


「フフっ、じゃあこれにしようかな」


手首を掴まれていることにさっきまで慌てていたのに、コタくんのチョイスした写真立て可愛すぎて興奮して手首のことをすっかり忘れていたことに

コタくんに笑われて始めて気がついた。


「あ…あのコタくん、手首」


「あぁ、ごめん。忘れてたよ」


今気づきましたアピールをしながら手首から手を離したコタくん。


絶対嘘だ。

絶対私の反応を見て笑ってたな…。

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