嘘つきなあなたからの恋文。
チャイムが鳴る5分前に黙っていた先生が手を叩いた。
「はい、ではもう少しでチャイムも鳴るしここで終了。
完成したかな?
未完成だったら隣同士だし、何時でも描けるんだから完成して渡しても良いし、そのまま渡しても結構よ。
相手にちゃんとプレゼントすること、良いわね」
先生はニッコリと笑った。
私は握っていた鉛筆を筆箱に収めると、スケッチブックから先程描いていた絵のページを千切った。
「コタくん……はい」
さっきまで見つめる程見てたのに今は気まずくて見ることができず、
視線を逸らして絵を渡す。
「ありがとう、小池さんも……はい」
一瞬手から画用紙の感触がなくなったが、スケッチブックの破る音が聞こえた後、直ぐに感触が戻る。
コタくんが描いた私だ。
逸らしていた視線をドキドキしながらコタくんから貰った画用紙に向けた。
しかし、そこには期待していた私の似顔絵はなかった。
そこには、丁寧な字で描かれた
【この前は怒ってごめんね。
小池さんと仲直りがしたいな】
コタくんの謝罪の言葉だった。