嘘つきなあなたからの恋文。
「その絵は?」
「……内緒」
「ここまで話しておいて内緒にする?」
「……」
『こんなの残さないでよっ』
「…うん、内緒」
返事をしつつ、“あの日”の自分の過ちを思い出し、胸が張り裂ける様に痛んだ。
「ねぇ、蒼…」
「なに?」
「今好きな人いる?」
「………内緒」
「あら…」
これはいるな。
我が息子だからこそ少しの反応で分かる。
「告白しないの?」
「…内緒っ」
顔、赤くしちゃって…可愛い。
顔を赤くしてコーヒーを飲む蒼の頭を優しく撫でた。
「後悔…しちゃダメよ?」
「母さんはしたの?後悔」
先程とは違った顔で私の目を真っ直ぐ見る蒼に戸惑って蒼の頭を撫でる手が止まる。
「後悔……もしかして告白せずに終わった?」
蒼の問いに微笑むと蒼の頭の上に置いていた手を引っ込めた。
「いいえ、私はコタくんに伝えたわ」
そう、私は伝えた。