嘘つきなあなたからの恋文。
20年前、確かに私はコタくんに告白したのだ。
「フラれたの?」
「………えぇ、フラれたわ」
眉間にシワを寄せて問う蒼にニッコリと笑って応え、
もう湯気がたってないコーヒーをスプーンでかき混ぜた。
「フラれた…」
蒼にしては珍しい小さな声で呟いた言葉を飲み込む様に
冷めたコーヒーを一気に胃に流し込んだ。
そして、一呼吸置いて外の庭を見つめながら蒼の言葉に返事した。
「何故かフッた彼が泣いていたわ」
冷めたコーヒーはとても苦く、そして不味かった。