嘘つきなあなたからの恋文。
-志望-
「コタくんは?」
「…私とコタくんね、学力一緒くらいだったの。
少しコタくんの方が上くらい」
湯沸かないな…。
ヤカンの蓋を開けて確認する。
あともう少しかな…。
「意外にも母さん頭良いもんな」
「意外はいらない。
だから、コタくんに何度聞いても志望校を教えてくれなくてもその高校だと思ったの」
「教えてくれなかった?」
蒼の問いに私は小さく頷いた。
「コタくんね…一度も教えてくれなかったの」
「なんで?」
『正直な話、僕の志望校は小池さんと同じ高校だったんだ。
春から小池さんと同じ制服を着て隣を歩いてみたかった。
本当だよ?
本当にそう願ってたんだ』
「彼は…」
彼はいつだって嘘つきだ。