嘘つきなあなたからの恋文。
「寒い」
シャーペンを握る手が悴んで力が入らない。
「コタくん」
「ん?」
「手に力が入らない」
「そう」
「ひどい、対応が冷たい」
「だってそんなこと言われても僕は何もできないよ」
「何とかしてよー」
寒い冬の1月。
私たちは受験生真っ只中だった。
「小池さん試験日もうすぐだよ?
それに静かにしないと怒られるよ」
「分かってるよぉ…」
教室を見渡すと、みんなが机のノートに噛り付いてシャーペンを動かしている。
その光景を見たら自然とため息が出た。
試験直前の今の教室は半年前の様なガヤガヤした空気はなく、始終張り詰めた空気で、
その空気を作っているのが自分もその1人だと考えらたらまた嫌になる。
私は所謂受験ストレスに堕ちいっていた。