嘘つきなあなたからの恋文。


「なんで…なんで高校行かなかったの?」


蒼が言いたいことは分かる。

中学生の私も進学をするのが当たり前だと思っていた。

けれどコタくんは進学しなかった。


コタくん家は貧乏だった訳じゃない。

コタくん自体成績はとても良かった。


けれどコタくんは進学できなかった。



「なんで…」


再度カップを取り出すと、カップとポットをテーブルに移動させ

困惑している蒼の前の席に着いた。


「……コタくんと最後に会ったのは卒業式だった。

それきり一度も会ってないわ」


蒼の問いに私は違う情報を口にした。

ここははぐらかすという言葉が正しいのか。


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