嘘つきなあなたからの恋文。
コタくんは私と離れても寂しくないのかな…?
「泣いてよ。私と離れる寂しさに泣いてよ」
「そんなこと言われてもなぁ…僕の変わりに小池さんが泣いてくれてるから泣けないんだよ」
「…意味わかんないよ」
小さな声でそう返すと彼は笑みを返した。
そして、教室をゆっくり見渡す。
「みんな教室から出ないね」
彼の動作を追い返す様に教室を見渡すと、みんな泣いてたり、笑ってたり表情様々だが、教室から出る行動を見せない所はみんな一緒だ。
「…やっぱりみんな寂しいんだよ」
明日からみんな新しい場所に行く準備ををする。
その場所は決してみんな一緒とは限らない。
一緒でも環境は様々だ、今と一緒とは限らない。
離れ難くなっちゃうよ…本当に。
隣にいる彼を見つめる。
「ん?何?」
「…なんでもない」
「そう…あ、そういえば小池さん卒業アルバム書いてよ」
「あ、うん」
コタくんとHRで配られた卒業アルバムを交換する。
一番後ろのメッセージのページを開く。
「フフ、コタくん男子ばっかりじゃない」
コタくんのメッセージは全て男子で埋め尽くされていて
私が女子で一番最初だった。
そんなちょっとした出来事が嬉しくてつい声を出して喜んでしまった。
なんて書こうかな。
マジックを手にした瞬間、
「まぁ、女友達小池さんしかいないし、小池さんにしか書いてもらう気ないよ」
隣からもっと嬉しい言葉が聞こえた。