嘘つきなあなたからの恋文。





「ん、ありがとう」


夫はビールを受け取ると美味しそうに一気に飲んだ。


「なぁ、父さん。

父さんもコタくんのこと知ってんの?」


「知ってるよ、俺も学年は違えど中学一緒だったし」


「じゃあ、さっき言ってたこと…なんでコタくんは母さんの気持ちに応えることができなかったのか教えてよ。

2人は両思いだったんだろ?」


「………」



両思い…蒼の言葉に胸が苦しくなると同時に、手紙を入れたエプロンの右ポケットが何だか熱く感じた。


「花梨は気付いてなかっただろうけどね、両思いだったよ。

でも、さっきも言った通りコタくん…健二は花梨と付き合う気はなかったんだよ」


「なんで?」


なんで?

蒼の純粋な質問は私も24年前に強く思った気持ちと一緒。



ねぇ、コタくん。

なんで?


なんで教えてくれなかったの?



「健二は」


ねぇ、なんで


「花梨たちが16の時に死んだんだよ」


「はっ……?」


「生まれつきの病気でな…」



なんで教えてくれなかったの?



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