私の師匠は沖田総司です【下】

「何よ」

「蒼蝶のことを調べるつもりなら、島原の角屋に行って以蔵を頼れ。以蔵も蒼蝶のことを調べてる。力になってくれるはずだ」

「……わかったわ、そうさせてもらう」

桜木さんは龍馬さんの横と通り過ぎると、庭から出ていった。

桜木さんの姿が消えて、張り詰めていた気が緩む。すると、グラッと視界が揺れて身体が傾く感覚がした。

でも、私の身体は地面につくよりも早く、龍馬さんに抱き留められる。

「大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。すみません、部屋で少し休みますね」

「ああ、そうしたほうがいいな」

龍馬さんに付き添われて2階の部屋に向かう。

布団に入り一息つくと、心から気が安らぐのを感じた。

徐々に眠気が全身を包み込み始める。

「龍馬さん……眠るまで、傍にいてくれませんか?」

「いいぞ」

優しく頭を撫でられ、目を閉じる。

「ありがとうございます……」

龍馬さんにお礼を言って私は眠りにつく。完全に意識を落とす前に、桜木さんの泣き顔が頭に浮かんだ。
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