私の師匠は沖田総司です【下】

紙には天宮が負傷または死亡させた隊士と女中艶子の出身地などの情報が書かれていた。

短時間で調べたとは思えないほど事細かく書かれている。

全てを読み終え、俺は息をはきだした。

紙に書かれている内容と、俺が聞いていた隊士と艶子の情報は何もかも一致しない。

そして、何より目を引くのは、『上記の隊士又は女中艶子は倒幕派の組織と関わっている可能性あり』の一文。

山崎はよくここまで調べられたものだ。

だが、これでハッキリした。

天宮が斬った隊士と艶子は間者だ。

天宮は俺たちを裏切ってはいなかった。

「調べてほんまびっくりしたわ。まさか、屯所に間者がおったなんて。ワイの目を欺くやなんて相当なやり手や」

山崎が悔しそうに眉を寄せる。調べるまで、間者が屯所内にいたことに気付かなかったのが、相当悔しいらしい。
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