私の師匠は沖田総司です【下】
「仲間を失い、逃げ道はなくなった。アンタの負けだ」
「ちっ……。あと少しやったってのに……」
「後悔は捕まった後いくらでもしろ」
逃げられないことを悟り、大人しくなった艶子を捕縛しようと近づいた。
しかし
「その女、私にやらせてくださる?」
澄んだ若い女の声がすると、艶子の背後に人影が現れた。
建物の影のせいで姿はハッキリと見えなかったが、白く煌めく刃が暗闇に浮き出ていた。
刃が細い軌跡を描き、艶子を背から胸へ一突きする。
「っあ゛……ぐ……」
苦しげに口から血を吐く艶子から刀が引き抜かれ、そのまま止めの一撃が放たれた。
地面に倒れた艶子はピクリとも動かなくなった。
「アナタが悪いのよ。私の邪魔をしたから」
刀に付いた血を払い落とすと、謎の人物の姿が露わになる。