私の師匠は沖田総司です【下】

「斎藤、山崎……」

副長に声を掛けられ、俺は立ち上がった。

「全て、お話します。ですが、まずは遺体の処理と捕縛者を閉じ込めておくのが先です」

「あ、ああ……。そう、だな……」

今の副長からはいつもの威圧に似た力強さを感じることができなかった。

もしかしたら、目の前の現実を受け止めきれていないのかもしれない。

……ここは俺が指揮をとらせてもらった方がいいな。

周りで呆けていた隊士たちに指示をだし、遺体の処理などを始める。

そして、一人で蔵に閉じ込めた間者に全て白状させると、その内容は俺が予想していたのとほぼ同じものだった。

間者から全てを聞き終えたあと、副長たちの待つ部屋へと向かう。

部屋には局長や副長、そしてそれぞれの隊の組長が集まっていた。

少し遅れてやってきた山崎が俺の隣に座ると、俺はこれまでのことを話した。
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