私の師匠は沖田総司です【下】
龍馬さん、私の体調は良好です
「うむ、症状は安定しているな」
「先生、いつもありがとうございます」
「薬はいつも通りな」
「う゛ぅぅ……はい……」
春の陽気な日差しが差し込む部屋で蒼蝶の診察が行われていた。
渋い顔で大量の労咳用の薬と睨めっこする蒼蝶に微笑んでいると、医者に手招きで呼ばれる。
「ちょっと行ってくる」
「はい」
廊下に出て戸を閉める。
「蒼蝶の様子は?」
「薬で症状を和らげているだけで、良くはなっていない」
「……」
見た目、元気そうな蒼蝶だけど、やはり病気は治っていないのか。
無意識に手を強く握りしめていると、医者が俺の肩に手を置いた。
「坂本さん、彼女に何かあればすぐに呼んでくれ」
「……はい」
医者を見送った後、蒼蝶が待つ部屋へと向かう。
部屋に入ると、蒼蝶は布団の中で半身を起こし、窓から見える空を眺めていた。