私の師匠は沖田総司です【下】
「龍馬さんは夢をみましたか?」
「いや、みてない」
どうやら龍馬さんは安眠だったようですね。
「さて、帰るか」
「そうですね」
着物についた草を払い、寺田屋へと向かう。
どこかの家で夕食の支度をしているのか、魚を焼く香ばしい匂いがします。
道を歩く人もまばらで、外に出たときに比べて落ち着いた雰囲気が流れている。
「蒼蝶」
龍馬さんが下におろしていた手を小さくひらひらさせる。
あっ、この合図。
私はすぐに龍馬さんの手を握りました。