私の師匠は沖田総司です【下】

「すまねえな、一緒にいてやれなくて」

龍馬さんが申し訳なさそうな顔をして謝りました。

確かに一緒にいられないのは少し寂しい気持ちもある。

でも、龍馬さんには龍馬さんの付き合いがある。それを邪魔してまで一緒にいたいとは思わない。

だから、私は龍馬さんが少しでも安心して行けるように、笑顔で見送ります。

「気にしないでください。気を付けて帰ってきてくださいね」

「ああ」

「さぁ、行こうぜ龍馬。いや~、おまえ可愛い恋人に笑顔で見送られて幸せだな。いつお嬢さんと結婚すんだ?」

「ばっ、ヅラ!」

「式には呼んでよ」

「俺も呼べ。三味線で一曲弾いてやる。酒も用意しとけよ」

「……はいはい、言っとけ」

ヅラさんたちの会話はよく聞こえませんでしたが、仲が良さそうで何よりです。
< 146 / 267 >

この作品をシェア

pagetop