私の師匠は沖田総司です【下】
「……なに?」
「いや、やっぱり酔ってるようには見えないなと思いまして」
もっと近くで龍馬さんの顔をみようと近寄ったら、龍馬さんに手首を掴まれてしまう。
そして龍馬さんは掴んだ手をそのまま唇まで移動させ、私の指先にちゅっと音を立てて口づけた。
「あ、あのっ……」
龍馬さんの唇に触れた指先が発火するのではないかというぐらい熱くなる。
慌てる私を見て、龍馬さんは薄く笑った。
「おまえ、無防備すぎ。俺かなり酔ってるから何するかわからねえよ」
「え、何かって?」
「そうだな……こういうのとか?」
「ひゃっ……!」
突然、龍馬さんが覆いかぶさってきたため、小さく悲鳴をあげてしまう。
背中に畳の感触とバクバクと脈打つ心臓の音を聞きながら、目を固く閉じる。
緊張で無意識に身体をギュッと強張らさせていると、耳元に吐息がかかった。