私の師匠は沖田総司です【下】
「天宮さん!!」
僕は人目もはばからず大声で名前を呼んだ。
すると前を走っていたその人はピタッととまり、後ろを振り返った。
「天宮さん……」
やっぱりあれは天宮さんだ。
天宮さんは傘を抱えながら、辺りをキョロキョロ見回している。
僕はいてもたってもいられなくて、走り出すと彼女を力一杯抱きしめた。
「ひっ!?」
抱きしめた拍子に小さな悲鳴が聞こえたけど、気にせず抱きしめ続ける。
「天宮さん、やっと見つけた」
「あ、あの……ちょっと、離して!」
天宮さんは腕の中で暴れ、僕から離れると距離をとった。
そして、拒絶に近い、まるで疑うような目で僕を見た。