私の師匠は沖田総司です【下】
「貴方……誰ですか」
「え……?」
天宮さんの一言に、一瞬だけ思考停止した。
「天宮さん、僕だよ。沖田総司だよ」
「オキタ、ソウジ?」
眉を寄せ、考える素振りをする天宮さん。
……悪い夢をみている気分だ。
天宮さんが僕に向かって「誰ですか」なんて言うなんて。
しばらく待っていた僕だけど、次に放たれた言葉は僕に更なる追い打ちをかける結果となった。
「やっぱり貴方のこと知りません。私を誰かと勘違いしているんじゃないですか?」
「で、でも!君の名前は天宮蒼蝶だよね!?」
「そうですけど……、私は貴方のことなんて知りません。何で会ったこともない貴方が私の名前を知ってるの?気持ち悪い」
「っ……」
天宮さんの一言一言が胸に深く突き刺さる。
僕に向けられる目も以前はやわらかくてあたたかだったのに、今は拒絶して氷のように冷えきっている。
外見は天宮さんだけど、中身は別の人みたいだ。