私の師匠は沖田総司です【下】
もしかして、これが彼女を裏切った代償なのか?
「……とにかく、私は貴方のこと知りません。先を急いでいるので失礼します」
逃げるように去ろうとする天宮さん。
その後ろ姿をみたら、手が勝手に動き、彼女の腕を掴んだ。
「なっ、何!?」
「天宮さん、お願いだから屯所に来て!屯所に来たら何か思い出すかもしれないから!」
「何わけわからないこと言ってるですか!!痛い、離して!誰か!誰か助けてください!」
天宮さんが助けを求めると、周りにいた人たちがこちらを見て戸惑った表情をする。
早く天宮さんを何とかしないと、と思った瞬間
「蒼蝶!」
と、聞き覚えの声がした。
そして、すぐさま天宮さんを掴んでいた手を解かれ、僕と彼女の間に人が割って入った。