私の師匠は沖田総司です【下】
「龍馬さん!」
僕たちの間に割って入ったのは坂本だった。
天宮さんを背で庇うと、僕を鋭い目で睨みつけてくる。
「怪我はないか?」
「はい、大丈夫です。龍馬さんが来てくれたので」
「そうか、よかった」
坂本が安心するようにほっと息をすると、僕の方を見る。
「組長さん、蒼蝶は記憶を失ってんだ。だから、おまえらのことは一切覚えてない」
「……」
「二度とこいつには近付かないでくれ。蒼蝶、行くぞ」
「はい」
坂本が天宮さんの手を引いて歩き出す。
遠くなる背中を見ながら僕は拳をきつく握りしめた。