私の師匠は沖田総司です【下】

「おまえが……おまえが天宮さんに何かしたんじゃないのか!?天宮さんに何をしたんだよ、坂本!!」

僕の一言に坂本は足をとめる。

すると、天宮さんをその場に置いて大股で近付いてくると、僕の胸倉を勢いよく掴んだ。

「蒼蝶に何したはこっちの台詞じゃ!!」

「っ!?」

顔面に頭突きを受け、地面に倒れる。

そしてそのまま、倒れてる僕を追い詰めるように坂本は再び僕の胸倉を掴んだ。

正面から見る坂本の表情は怒りに震えていて、目に微かに涙を浮かべていた。

「おんしは知らんじゃろうが、ワシが蒼蝶を見つけたときあいつは死にかけとったんじゃぞ!意識も戻らんくて、やっと目覚めたと思ったら記憶を失っとった……!蒼蝶の記憶を奪ったんはおんしら新選組じゃ!」

「……」

「本当は頭突き一発じゃ許せん。じゃが、組長さんじゃから今回は頭突き一発でこらえちゃる。次は無いと思え」

坂本は乱暴に手を離すと、今度こそ天宮さんとどこかへ行ってしまった。

最後に天宮さんは僕の方を見たけど、冷たく顔を逸らされてしまう。
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