私の師匠は沖田総司です【下】

***

胸騒ぎがする。

理由はわかってる。蒼蝶が新選組にみつかってしまったからだ。

いつか、こんな日がくるとは思っていたけど、それが実際に現実に起きるとどうすればいいかわからない。

「龍馬さん、どうしたんですか?」

俺よりも小さな手が頬に触れる。

開け放たれた窓から差し込む月明かりのおかげで、心配そうに見つめてくる蒼蝶の顔がよく見えた。

「龍馬さん?わっ!」

顔に触れていた手を掴み、引き寄せる。

「何でもねえよ」

「……もう。龍馬さんはいつもそうです。一人で何でも抱え込んで、何も話さないんですから。私は少しでも龍馬さんのお役に立ちたいのに」

蒼蝶がムッと頬を膨らませた。

俺は拗ねた蒼蝶の顔に手を添えると、その額にそっと口づけた。
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