私の師匠は沖田総司です【下】
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胸騒ぎがする。
理由はわかってる。蒼蝶が新選組にみつかってしまったからだ。
いつか、こんな日がくるとは思っていたけど、それが実際に現実に起きるとどうすればいいかわからない。
「龍馬さん、どうしたんですか?」
俺よりも小さな手が頬に触れる。
開け放たれた窓から差し込む月明かりのおかげで、心配そうに見つめてくる蒼蝶の顔がよく見えた。
「龍馬さん?わっ!」
顔に触れていた手を掴み、引き寄せる。
「何でもねえよ」
「……もう。龍馬さんはいつもそうです。一人で何でも抱え込んで、何も話さないんですから。私は少しでも龍馬さんのお役に立ちたいのに」
蒼蝶がムッと頬を膨らませた。
俺は拗ねた蒼蝶の顔に手を添えると、その額にそっと口づけた。