私の師匠は沖田総司です【下】
「今、幸せか?」
「はい。とても幸せです」
「そうか。俺も幸せ」
自然と腕に力が込められる。
幸せだという言葉は嘘じゃない。本当に幸せを感じていた。
でも、いくら蒼蝶の身体を抱きしめても胸騒ぎはおさまらない。
逆に強くなっていく。
まるで、すぐにでも胸騒ぎが現実のものへと変わるような、そんないやな予感。
俺のこういう勘は当たるからいやなんだよな……。
少しでも胸騒ぎを抑えようと、さらに蒼蝶の身体を抱きしめたときだった。
「新選組だ!中を調べさせてもらう!」
下から複数の人間が寺田屋に踏み込んでくる音がした。
少し遅れて隣の部屋にいた以蔵が飛び込んでくる。
「龍馬、新選組が!」
「わかってる。たぶん、目的は蒼蝶だ」
立ち上がり、刀を掴むと蒼蝶を抱え上げる。