私の師匠は沖田総司です【下】
龍馬さん、貴方に会いたいです
「離して!龍馬さんの所に帰して!」
静かな屯所に天宮さんの大声が響き渡った。
「またか……」
手入れをしていた刀を置き、廊下に出て少し歩けば土方さんに捕まっている天宮さんの姿がある。
ジタバタと暴れ、今にも土方さんに噛みつきそうな勢いだ。
「総司、丁度よかった!天宮を部屋に連れて行くぞ!」
「はい」
暴れる天宮さんを二人掛かりで引きずるように部屋へ連れて行く。
部屋に入れられると観念したのか、天宮さんは大人しくなった。
口を真一文字に結び、悔しそうに眉を顰め、目の縁いっぱい涙を浮かべている。
「天宮。何度も言うが記憶が戻るまで部屋から勝手に出るな。俺たちはおまえに危害を加えたりしねえから、大人しく部屋にてくれ」
「……私に危害を加えないなら、なぜ私を屯所に連れてきたの。貴方たちは龍馬さんたちの情報が欲しくないの」
「そりゃ……情報は欲しいが……」
「だったら私を拷問にでもなんにでも掛けて情報を聞きだせばいいじゃない!殺してよ!もう私を殺して!このまま敵陣の中で一生暮らすぐらいなら死んだ方がマシよ!」