私の師匠は沖田総司です【下】

「さようなら、龍馬さん……」

悲しくて、締め付けられるような喉から、別れの言葉を口にし、やっとの思いで手を離す。

そして、背を向けて屯所へ戻ろうとしたら、身体が宙にふわりと浮いた。

「龍馬さん……どうして……」

抱き上げられて、驚きに目を大きく見開く私に、龍馬さんは少し悲しそうに微笑んだ。

「これが、最後だから。最後に恋人らしいことさせて」

「っ……」

止まっていた涙が息を吹き返して、涙を見せないように、龍馬さんの首に腕を回した。

貴方の優しさに心が揺さぶられる。

胸が切なく痛む。

龍馬さん……貴方の優しさが苦しいよ。
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