私の師匠は沖田総司です【下】
しばらくキスの幸せに浸っていると、どこからか私の名前を呼ぶ声がした。
龍馬さんにも聞こえたらしく、私の背後にある屯所に視線を向けている。
「そろそろ行ったほうがいいな」
「……はい」
龍馬さんの大きな手で顔を挟まれると、軽く唇を合わせて離れる。
「師匠さんを成仏させてやれよ。でも、身体のこともあるし、あまり無茶はするなよ」
「はい……」
「好きだよ、蒼蝶。誰よりも」
「私も……龍馬さんが好きです」
でも、貴方を選べない。
こんな私の身勝手な告白は、ある意味残酷なのかもしれない。
でも、龍馬さんは笑って
「ありがとう」
と、言ってくれた。
「じゃあな」
龍馬さんは私の頭を撫でると、背を向けて歩き始める。
私は龍馬さんが見えなるまで、その後ろ姿を見送り続けた。