私の師匠は沖田総司です【下】
それからはどうやって屯所に戻ったのか覚えていない。
いつの間にか自室に戻っていて、濡れた着物も着替えずに呆然と佇んでいた。
「うっ……あぁっ……」
龍馬さんを傷つけた罪悪感で胸が張り裂けそうで、私は声をあげて泣いた。
私が泣くなんて間違ってる。だって一番傷ついたのは龍馬さんなのだから。
それはわかってる。
でも、涙が止まらなかった。泣くのを止めることができなかった。
龍馬さん、ごめんなさい。貴方を選べなくてごめんなさい。
私は何度も心の中で龍馬さんに謝った。
龍馬さんは謝るなって言ったけど、そんなの無理だよ。だって私には謝ることしかできない。
謝ることしか思いつかない。
「ごめんなさい……龍馬さん……」
部屋の中まで反響する、建物に打ち付ける雨の音に、声をかき消されながら私は龍馬さんに謝った。
こうして、龍馬さんとの恋は終わりを告げた……。