私の師匠は沖田総司です【下】
胸に手を当ててみる。
当たり前だけど、こうしたからってわからない。掌を伝って心臓の鼓動が聞こえるぐらいだ。
「前までは天宮君に冷たくされたりするだけで、私のところに来て、こーんなショボショボした顔で『山南さん、僕、どうしたらいいんでしょう……』て相談に来ていたじゃないですか」
山南さんが暗い表情と声になって、その時の状況を演出するが、僕の真似?をする山南さんが可笑しくてクスッと笑ってしまった。
「そんな総司が、何か理由があるんだと考えられるようになったのが、心の成長のような気がしたんです」
「なるほど。だったら、僕の心が成長できたのは天宮さんのおかげですね」
僕は天宮さんから多くのことを学んだ。
そして優しさや信頼、沢山のものを貰った。
子供が学び、与えられることによって成長するように、僕の心も成長したのかもしれない。