私の師匠は沖田総司です【下】
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平助君が帰った後に来てくれた山南さんから借りた本を読んでいると、部屋の外から土方さんの声がしました。
部屋の中が薄暗いので、そろそろ夕食の時間でしょうか。
「入るぞ」
「どうぞ」
本にしおりを挟むと、障子がスッと音を立てて開く。
障子が開いたと同時に、夕方の心地よい風と共に、夕食と、それとは別の爽やかないい香りがしました。
何だろうと思って土方さんの方を見れば、その手にはお膳と花束がある。
爽やかな香りの正体は花束のようです。
「あの、土方さん、その花束は……」
「これは総司からだ」
「組長ですか?」
意外な人物につい驚いてしまう。
土方さんがお膳を横に置くと、私に花束を渡してくれました。
鮮やかな青みの紫色の花。
私はあまり花に詳しくないのですが、これは菖蒲(アヤメ)でしょうか。