私の師匠は沖田総司です【下】

後ろに大きく傾くと後ろから抱きしめられる。

「師弟の感動の再会を邪魔して悪かったな」

「あ~……、やっぱりおまえも来てたんだ、坂本」

師匠が私の後ろにいる人に皮肉めいた顔で言う。

そろっと後ろを見てみれば、クルンとしたやわらかそうな髪の毛が見えた。

「龍馬さんですか……?」

「ああ」

恐る恐る名前を呼べば、その人は優しい笑みを浮かべて返事をしてくれる。

手を伸ばしてクセのある髪を触ってみたら、とても懐かしい感触がした。

「龍馬さんだぁぁ~……」

「おい。俺の判断材料は髪かよ」

やっぱり龍馬さんと言えばプードルのようなやわらかい髪の毛かなと。

「天宮さん!」

「おぐふぅっ!?」

突然、どこからともなく現れた人物が私を龍馬さんから奪い取り、そのまま抱きしめられる。

ぎゅうぎゅうと胸板に顔を押し付けられ、かなり苦しい……。
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