私の師匠は沖田総司です【下】

まさか組長から、初詣のお誘いがくるとは思っていませんでした。

でも、私も後から神社に行こうと思っていたので、嬉しいお誘いです。

「分かりました、いいですよ」

「ありがとう。じゃあ、さっそくこれを片付けないとね」

組長は箸を手に取ると、お雑煮の野菜を一気に食べ始めました。

食べるというより、口に流し込んでいますね。

もっとよく噛んでください、と言いたいところですが、必死に野菜を食べる組長をみたら言えませんでした。

「ぐっ……、天宮さん、水かお茶を頂戴」

「はい、どうぞ」

すっかり冷たくなってしまったお茶を湯飲みに入れて渡すと、組長はそれで口の中の野菜を飲み込みました。

「はぁ……。天宮さん、ちゃんと約束守ってよ」

「はい。でも、神社に行くのは食器を片付けてからでもいいですか?」

「うん……。むしろ、そうしてくれた方がありがたいかも。野菜を一気に食べたせいて気分が……」

野菜でグロッキーの組長。

普段、隊士から恐れられている組長ですが、野菜がニガテなんて、なんと厄介で、可愛い弱点なのでしょうか。
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