私の師匠は沖田総司です【下】
「……」
身体を離した龍馬さんがマジマジと私の顔を覗き込んでくる。
私は恥かしさと後ろめたさで、ますます俯いてしまいます。
「あ、あの……龍馬さん。さっきのは……ひゃっ!」
どうにかして言い訳しようと口籠っていると、額に龍馬さんの手が触れた。
動揺していたこともあり、彼の手が触れただけで過剰な反応をしてしまう。
しばらく目を閉じて体を強張らせていたのですが、龍馬さんの手は私の額に触れたまま動きません。
「熱いな……」
熱い?
目を開くと、龍馬さんの手が離れました。
「おまえ、体熱いんだけど。熱があるじゃねえか?」
「熱……?」
試に自分でも額に触れてみました。
……確かに熱い。
でも、これは風邪のせいなのか、龍馬さんのせいなのか、または自分のせいか分かりません。
「ケホッケホッ」
「風邪ひいてんの?」
「……はい」
「そうだったのか。こんな所に連れてきた俺が言うのもなんだけど、帰って寝た方がいい」
帰るという単語に気分が重くなってしまう。
土方さんにしばらく屯所に帰って来るなと言われてしまったし、何より屯所には艶子さんがいる。
屯所に帰ったとしても休むことなんてできない。