私の師匠は沖田総司です【下】
長いような短い時間。
鳥の雛のように体を寄せあっていると、龍馬さんが不意に「ごめん」と呟いた。
「体調が悪いのに、暗い話を聞かせちまって……」
私は気にしなくていいと、首を横に降った。
そして、龍馬さんのやわらかい髪を優しく撫でた。
「どんな話しであろうと、龍馬さんのことが知れてよかったです」
嘘偽りのない言葉だった。
私は心から、龍馬さんが胸に抱えていることを知れてよかったと思っていた。
……でも同時に、私の心境は複雑でもありました。
龍馬さんを知るたびに、自分でも分かるぐらい私は彼に惹かれている。
「好き」という感情が大きくなっていく。島原で初めてこの気持ちに気付いた時よりも……。
龍馬さんはフッと微笑むと、甘えるように胸に顔を埋めた。
「ありがとう」
背に腕を回され、再び抱きしめられる。
こうして貴方の温もりを感じるたびに、貴方を知るたびに、佐幕派と倒幕派それぞれに身を置く私と龍馬さんは、敵対関係ということを忘れてしまいそうになる。
―――そして、私がこの時代に来た理由も。