私の師匠は沖田総司です【下】
艶子さんがたすき掛けをした紐を解きながら言いました。
「はい。艶子さんはもう行かれましたか?」
「まだなんよ。でも、この後友達と行くつもりなんや。局長はんも、今日はもう帰ってええって言ってくれたからな」
「そうなんですか」
「天宮さん、まだ?」
「すみません、もう少し待っててください。では、艶子さん後はお願いします」
「いってらっしゃい」
艶子さんと別れると、私と組長は初詣に向かいました。
今日はいつもより多くの人たちが道を歩き、活気にあふれている。
油断していると人とぶつかってしまいそうです。
「わっ!」
言ったそばから男の人と肩がぶつかってしまいました。
身体をフラつかせていると、すぐに組長が私の身体を支えてくれました。
「大丈夫?」
「はっはい!ありがとうございます」
私の身体を支えてもらった時に感じた、組長の腕の力強さに思わずドキッとしてしまいました。
野菜嫌いで、子供っぽいところがある組長ですが、やはり大人の男性なんですね。
「人が多いから気を付けてね」
「はい」
「じゃあ、行こうか」
そう言うと、組長はさりげなく私の手を握りました。