私の師匠は沖田総司です【下】
「やっぱり、行かない方がいいか?」
「え……?」
「だって、行って欲しくなさそうな顔してる気がするから……」
「あ……」
これじゃダメだと思った。
せっかく龍馬さんが進もうとしているのに、私のせいで諦めて欲しくない。
バカバカバカ!悲しい顔なんてしちゃダメ!
私は悲しい顔を消す為に両手で挟むようにして顔を叩きました。
強く叩きすぎたせいで頬っぺたがヒリヒリします。
「おい、何してんだ」
いきなり頬を叩いた私を見て驚いた龍馬さんが言いました。
私は龍馬さんに向かってニコッと笑う。
「私は大丈夫です。今日、龍馬さんから沢山元気をもらいました。明日からも頑張れます!」
「本当か?」
「はい!……でも、一つお願いしてもいいですか?」
「何だ?」
「龍馬さんが町を離れている間、懐中時計を貸して頂けませんか?」