私の師匠は沖田総司です【下】
でも、多分龍馬さんは私を心配して約束したんだ。私が……行って欲しくなさそうな顔をしてしまったから。
だから会う約束をしてくれた。
はあ……。心配させてしまうなんて何やってるんだろう。
何だか自分が情けなくて落ち込んでしまいます。
「またな」
「はい。あ、そうだ。町を離れる時、お姉さんから貰った刀を持って行ってくださいね」
「……何でだよ。俺は人を斬りたくねえんだ。同じ日本人なのに斬り合うなんて間違ってる」
「今の時代、全員が全員龍馬さんと同じ考えではありません。むしろ逆のことを考えている人の方が多いんです。お姉さんは龍馬さんの命を守るために刀を渡したんですよ。
……私も龍馬さんには死んで欲しくありません。生きて、また会いたいです」
脳裏に浮かぶのは、以前角屋の裏方として働いていた時にみた、腕に大怪我をした龍馬さんの姿。
またあの時みたいに襲われて怪我をしたらと思うと、胸の辺りがキュッと締め付けられる。
そんな私を気遣ってくれたのか、龍馬さんが私の頭を撫でてくれました。
「分かった。これからは刀を持つことにするよ」
「はい!では、今日はありがとうございました」
「ああ」
私は龍馬さんの姿が見えなくなるまで手を振り続けて別れました。
龍馬さんに会える1ヶ月後が待ち遠しいです。