私の師匠は沖田総司です【下】
……って、そんなことを言っても無駄ですよね。
私がいた時代よりも男尊女卑の意識が強い時代。
やはり女は家にいて家事をするものだと思われます。
私みたいに刀を握っている方が変なのです。
だから私がいくら隊士であると言っていても、他の隊士から見たら隊士の真似事をしているように見えるのでしょう。
そして私が組長や斎藤さん、平助君などの隊を率いる組長とも仲が良いため平隊士から嫉妬心もかう。
周りからしたら、私は出しゃばり過ぎの生意気な女なのです。
今までは表立ってそんな雰囲気はありませんでしたが、艶子さんやそのお仲間たちの噂に触発され、少なからず女の私に不満を持っていた人たちの心の箍(タガ)が外れたようです。
艶子さんが流した噂プラス私への不満。
この二つが結びついて、屯所中に広がり、毎日隊士からは白い目で見られる日々。
こんな生活は早く終わって欲しい。逃げ出したい。
でも、逃げたくても新選組の隊士である以上、屯所で暮らす必要があるためその願いは叶わない。
それに、なによりも逃げ出したら組長の傍にいられなくなります。
そんなのは絶対ダメです。私は組長の未来を変えて師匠を成仏させるために、この時代に来たんですから。