私の師匠は沖田総司です【下】
「ちょっと、組長!なんで私の手を握っているんですか!!」
「だってこうした方が、さっきみたいに人にぶつかったとき、僕が守ってあげられるでしょ?それに、はぐれたら大変じゃない」
確かにまたぶつかったり、はぐれたりするかもしれない。
でも、やっぱりダメですよ!
だって今、私は男の格好をしているんです!
男同士で手を繋いでいるように見えちゃいます!
「ちゃんと注意して歩きます。だから、手を離してください」
手を振りほどくと、組長がシュンと落ち込んでしまいました。
罪悪感で胸が痛い……。
「天宮さん、僕と手を繋ぐのいやなの?」
「違います!ただ、私、今男の格好をしてるので」
「僕は気にしないのに」
私が気にするんですよ!
それに、師匠がどこで見てるか分からないんです。
もし、組長が男色の噂が流れるとそれが師匠にも反映されるわけで。
そうなったら師匠の後悔が増えて、成仏できなくなってしまいます。
だから、組長ごめんなさい。