私の師匠は沖田総司です【下】
「屯所に……帰らないと……」
でも、帰って何になるの?帰ってもどうせ捕まるだけなのに……。
帰りたくないな。
「コホッ……」
帰りたくない。
帰りたくないよ……。
「コホッ……ゲホッ、ゲホ!……ゲホ、ゲホゲホ!!」
な、何……?
突然襲った激しい咳と胸の痛み。
絶え間なく襲う咳で息ができなくなり、私は地面に蹲った。
「ゲホッゲホッ、ゲホッ!!……ゴフッ!!」
喉の奥から競り上がってきた熱い液体を口から吐き出す。
すると濡れた地面全体が真っ赤に染まった。
「え……、何これ……」
血……?私、血を吐いたの?
だったら、これじゃまるで。
「ぅ……」
グラッと視界が歪む。今まで経験したことがない強い眩暈。
全身に力が入らなくなり、地面に倒れた。
寒い……。私、このまま死ぬのかな……。
「師匠、ごめんなさい……」
遠くなる雨の音を聞きながら、私は静かに目を閉じ、意識を失った。