溺れて、染まった1日に
第1章 全ては空回りから
初めから知ってたの
春のぽかぽか陽気。
中学校とは違う世界観の中。
私はあなたに恋をしたんだと思う。
***
「紗彩、あ、また飴舐めてる」
「美月ちゃんー…ほら、舐める?」
「いらないわよ。今日は何味?」
「シトラスミント」
「あ、ならちょうだい」
「あーっ、そういうの飴っこ差別って言うんだよ」
「お子ちゃまか、ちびっこ」
こつん、といちごミルクが入った缶を額に当てられる。
私は高校一年生の西塚紗彩。
背はちっちゃいし、美月ちゃんみたいに色気もないし、大人っぽくない。
要するに見た目も中身も子供。